はじめに
文字周りの国際会議ATypIの2019年大会が日本で開かれました。そこで発表してきたので忘れないうちに感想でも書いておこうと思います。
発表
動画
YouTubeで晒されています。
資料
こちら にアップロードしています。
内容
動画か資料を見ていただければ、わかると思いますが書体(またはフォント)を作る上でどのような場面で機械学習を活かせるかを検討しています。ここでは、大きく分けて「自動デザイン」と「品質保証」に活かせるのでは?としています。
自動デザインでは、ディープラーニング(特にGAN、pix2pix)の技術を用いて、「あ」の1文字をデザインすれば他の文字を作ってくれるというものを発表しました。これは僕の学部時代の研究をもとにしたものであり、卒論もこのテーマで書きました。
品質保証では、デザインのチェックを機械学習を使って行うということを発表しました。文字ごとにデザインのクオリティーがばらついていてはいけません。そこで、全ての文字を一定のクオリティーに保てるように機械でチェックを行えないか?という検討をしています。
会場にいた多くの人は(タイプ)デザイナだったため、技術的な詳細は薄めにし、嘘のない範囲でわかりやすく書体開発における機械学習の現状をお話ししたつもりです。
エンジニアの人には少し物足りない感じになってしまったかもしれません。そういう人はこちらの学会での発表資料はもっと詳しく書いているのでご覧ください。
ATypIについて
参加の経緯
国際会議で毎年世界のどこかで大会を開いているのですが、今年偶然にも日本、しかも東京ととても近いところで開催だったので、ラッキーでした。しかも今回の大会に限り、日本語と英語の2ヶ国語開催だったので発表も日本語でできます!
思い出すと、発表の応募をしたのは2月でインターン先の人に応募してみませんかと言われたのがきっかけです。そこから音沙汰もなく、通らなかったのかと思っていたら、なんと6月下旬に参加決定となりました(もともと4月とか言われてた気がするのでだいぶ遅れてた?)。
そこから、今回の大会では同時通訳がつく発表だったので事前に原稿を送る必要がありました。そのため、急いで資料と原稿を作り、翻訳をお願いしました。翻訳を担当してくれた方に感謝します。
気になった発表
いくつか気になった発表の感想を1行ずつ書いておこうと思います。エンジニアリングよりです。
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源ノ角ゴシック バリアブルコンセプトフォント
やっぱり日本語バリアブルフォントは辛いな。という話。 -
建築のようにハングルを作る:バリアブルフォントの活用
ハングルってこんな感じに作っていくのか。というのがわかった。 -
Type. My Life.
モリサワはそうめんの会社だった。(嘘) -
ツールで語るヒラギノ開発の歴史
自社開発ツールをこんだけ作るの大変そう。 -
漸進的フォント補完技術の進捗状況
日本語のWebフォントもっと便利になってくれーーー。
当日の様子
日本人の方が外国人に比べ少なく3:7か4:6ぐらいの印象です。合わせて1日あたり300~400人ぐらいはいたと思います。
デザイナーの人が圧倒的に多くて8~9割ぐらいがデザイナーだったんじゃないかなと。
期間中、いろんな人とお話しできたり、発表後は様々な感想をいただけたので、発表してよかったなと思いました。
大会後には別会場でAdobe主催のパーティーがあり、写真がVJの素材にされたのも良い思い出です。あと音楽が流れてると外国の方は踊るんですね。
ボランティアスタッフが多いこともあってか、少し不手際な部分もあったように感じますが、総じて参加してよかったと思えました。
おわりに
来年はパリで開催だそうです。主催はワインを飲みながら楽しそうに参加を呼びかけていました。僕は行きませんが、お近くに用事のある人は行ってみると良いのではないでしょうか笑。